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手に取るということ


以前、お店にいらした方に、「おちつく」とか「部屋みたい」などの感想を口にされる方が多くいらっしゃったことを思い出します。


当時は、それでいいのだろうかと正解が分からなかったのですが、今思えば、一人でお店をするとどうしてもそうなってしまうのかもしれません。大きなお店でも、そのフロアの働く人たちのチームワークの良さがわかるときがあり、その店に入ってみると、薄く色が重なっている感じの、統一感が感じられるときがあります。


ネットのみで販売するようになってから、いや、以前からわかっていたことですが、本は、目に入ったり、手に取ったりして、その1冊を売るということではなく、全体のつながりによって売っていたのだなと思うことがあります。なにより、手に取って感じたことが大事なことだと、日に日に感じています。


もちろん、「なかみ」だけを楽しむことも、本を読むということでとても楽しい経験ではありますが、手に取る場所を感じるところから始まる読書体験は、また、今この時代だからこそ、大切なように思います。


もっと以前は、わたしも、大きなお店で多くの方たちと働いていました。その頃は、毎日のようにフェアや新刊で特にこのお店だから売り出せるものなどを考えて、出しておりました。毎日修行のようでした。ほんとうに修行だったらしく、わたしのパソコンに入っているフォルダーのネーミングは「フェア道場」でした。


思い出した本を検索しながら、注文するための情報をテキストファイルに一旦入れて、フェア全体のバランス、小テーマの分量をみながら、実際発注をして数字を入れていくようなことをしていたのを思い出しました。テキストファイルに入れて、発注の履歴をプリントして、それに発注後の記録を付けていきます。


最近、とあるきっかけで、「フェア道場」を見返しました。10年くらい前のフェアですが、「KY」って言葉がもうあったのに驚きでした。




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