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思いついちゃったんだからしょうがない。-作品「どっとえ くにお」ができるまで 1

更新日:2020年8月31日


思いついちゃったんだからしょうがない

世の中がどうであろうと、思いついたら止まらない。どうしようもない止まらなさに、自分のことながら呆れております。作品を作り終えた今でも。

MARUMIZU製本コンクールのお知らせが来ました。参加は今年で3度目です。製本を知りたくて、ただ関係するところに携わりたくってぐるぐると巡り巡っていたときに、このコンクールを知り、すぐに応募しました。

作品を見て欲しいというよりは、欲しいのはカッターを真直ぐ引けるような技術で、そのためには誰かに見られるという緊張感のあるきっかけが必要でした。細かいことだとしても、誰も見ていないからという気持ちで、ものづくりに慣れてしまいたくなかったし、作品の一定の基準をどう決めるかはとても難しいから、他の目を感じる要素が欲しかったのです。


おかげさまで回を重ねるうちに、基準を満たさなければやり直すという決断も苦も無くできるようになりました。それでも締め切りという制限もあり、自分の基準を完全に満たしているとは言えないことは多く、どこまでもその苦悩は続きます。

今回のお題は「柳田國男」でした。

調べていくうちに、『遠野物語』がわずか200部の自費出版からのものだったのに、今では絵本やコミック、オマージュされたものが生まれたりと、多くの『遠野物語』が刊行されているということに気持ちが動きました。本のなかみの魅力ってこういうところにあるんですよね。

それに加えて、遠野物語の初版本がどうなっているのかとネットで検索していると、年代物であるため、当然のそれぞれの趣きのある本に仕上がっているっていうのも、本のうつわの魅力だなと思いました。

これって、本のヤケ具合を利用して絵にしたら面白いかしら?と、『遠野物語』の初版本をモチーフに、ドット絵で柳田國男の顔を作ることを思い立ったら、もう止まらなくなっていました。2か月くらいの制作期間では完成できないだろうということも瞬時によぎりましたが、それ以外考えられなくなりました。

本当は初刷部数である200冊の豆本でドット絵するのにこだわっていましたが、200冊では上手く顔になりませんでした。ちゃんと顔に見せるようにするには、最初864冊必要だという計算になった時は白目をむきましたが、それでもあっさり受け入れていました。出品したものは650冊ですが、当初の計算通り864冊作りました。


これってどこまでだったらやめようと自分は思うのか。いや、諦めて修正できるような内容なのか。ずっと考えて作業していました。コンクール延期のお知らせの際に、不謹慎だとは思いつつ、ちょっとだけほっとしていたりして。


まずは初版本はどういう装丁なのか。


遠野市立博物館に初版本があることを知り、実際に見てみたかったのですがその頃には緊急事態宣言が近々発令されるという時期でした。でも見ないことには作れないと、直接装丁の様子を博物館に問い合わせてみましたら、親切に画像を送っていただき初版本の状態がわかりました。


遠野市立博物館の学芸員の方にはほんとうにお世話になりました。

ありがとうございました。


その2へ続く

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